この業界では、依頼人や調査対象者の弱みにつけこんで恐喝するといった事件が絶えなかったのである。 小説やテレビドラマなどフィクションの世界に登場する探偵は、推理と行動力を駆使して犯人を追い詰めてゆくが、現実は探偵が犯人を追及するよりも、探偵自身が犯罪を犯して逮捕される場面の方が圧倒的に多い。 昭和61年に警視庁が実施した調査では、暴力団が経営する会社が21社にのぼった。 暴力団対策法を逃れるために、探偵社の看板を掲げているのだ。 もともと人の弱みをつかむ仕事なので、恐喝の材料には事欠かない。 戸籍謄本の入手、不法侵入、盗聴など違法な手段を使わなければ調査ができないこともある。 そのため、警察沙汰は、日常茶飯であった。
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